なぜなら、それは、自分が持つ通常の感覚とは、別のところから入ってくる感覚だからである。はたして、それがどこから、なぜ、そう感じられてくるのか、自分でもわからないのである。だから、ただたんに幻(マボロシ)なのかも知れないし、あるいはまた、予感とか示唆(しさ)にとどまるしかないものなのである。そして、それと同時に、なぜか、強く自分を引きつけてやまないものなのである。
そして、それがいったい何なのか、ハッキリと見えて来ない。いまだ、おぼろげなままの、恐れやおののき、あこがれや、祈りといったものとして、感じられてくるのである。得体の知れない「おののき」や衝動、衝撃として。
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