17目次へ < 「春ｶｽﾐの情景」

〜２、理由。

そうやって現実を逃げ出して、
空想の世界を生きている。
イヤ、どちらが本当の現実なのか、
わかったものではない。

反対に、この現実が空想なのだ。
偽善と偽りの妥協で成り立っている。
何ひとつ確かなものなどない。
現実のなかに、真に納得のいく
「理由」といったものが見あたらないのである。

何をしても、見ても聞いても、
現実のなかに納得のいく
「理由」が見当たらないのである。
まるで現実のすべてが、
機械仕掛けの自動販売機のようで、
だれも、自分の考えというのを持たず、
まわりに合わせて同じことを繰り返しているだけのように、
思えてくるのである。まるで人型ロボットのように。

　　　 戻る。　　　　　　　　　　　　続く。