< 「未知の記憶」

〜2、苦しさ。


たとえば、まぶしさ、熱さ、痛さ、苦しさ等々。遠のく意識の向こう側に、何かが見える。または感じる。あるいは、混乱する情緒のなかで、空間が何かの歪みや軋(きし)みとして感じられて来る。音とか、肌に触れる空気の感触なども、そうである。

そうしたことが、心臓の圧迫や、空気の息苦しさや、暗さ、まぶしさ。あるいは耳を無視して直接心臓に響いてくる、音の音色(ねいろ)としても感じられて来る。心の中でなにかが囁き呟いている。つまり、直接、目には見えないのであるが、何かを強烈に感じているのである。

のみならず、それに響き合い、交流し、反響し、呼び覚まされて、自らも自分独自の音色(ねいろ)で反射して発信しているのである。そして、それらが重なって、新たな異質のシンフォニーや音色となって、拡散している。そしてまた、どこか知らないところで、それが共鳴され、反射しているのである。ひびき、つながり、広がってゆく。あるいは、それが意識され全く異質な音色となって帰ってくる。発信し、伝わり、変身され、それが反響し乱反射を繰り返して、無限に広がり消えてゆく。

      戻る。                    続く。