〜1、「様式」
コトバの概念の世界や、目に見える何かの彫像や、その表面にも、たしかに精神は感じられるし、伝わってもくる。見るもの、聞くもの、触れるもの、それらすべてに精神の表現のようなものを感じるのである。現実の世界に精神が現れている。 たとえば何かの考えや、その感情の表現として、人間の顔の表情にその精神が現れている。そしてこの顔つきや表情といったものは、その民族の暮らし方や、生活のパターンと密接に関係して、そこから生成されてきたものである。これもまた、自己の精神が外の世界に反射して映し出されたものである。 精神の内面というのは外の現実の反映であり、それがその顔つきや表情として、人間の顔現れているのである。心の中が、心の外の世界に表現される。心の中が、表情やしぐさや感情となって現れて来る。しかし、そうしたことがまた、何かの記号や符号、暗示のようにも思えてくるのである。何かが予感され、また、その前兆のようにも見えてくる。そうした何かを印象し、そして、それを象徴するようなものとして感じられ、見えて来るのである。 それは、特徴とか個性といったもので、他のものとは明確に区別される、際立つ特徴といったもので、それが表面に出てきている。それは、自分自身を支配している原理とか、理由といったもので、それが他者と区別されるカタチとなって、表面に出てきているのである。そこにしか見られない独自の様式や自律性、ないし秩序として。 続く。 |