〜2、「実体」
そしてまた、そうした特徴といったものが、他者と区別される個性として自己を保存し、維持し、そして指向し続けているのである。自分の内部にある自分自身の自律性をもとに展開し変化し続けながらも、自己同一を保ち続けている実体なのである。 それは民族の歴史と地理的領域の世界に明確に現れている。他者と区別される自己の主体性として。歴史的にも空間的にも自己同一を保ち続ける、変わることのない、自己の内的原理としてそうなのである。そうした、目には見えないが、自己と他者が明確に区別される境界線と領域を持っている。もちろんそれは、自己の内的な精神の領域でのことであるが・・・。 そしてそこから、民族をカタチ作っている、様式やあり様、そしてその活動の仕方といったものが、導き出されてくる。その自律的な秩序のあり方や原理、規則性や整合性として現れている。それは個性であり、特徴といったものであり、そしてまた、そこが自己と他者とを区別する、異質なものとの境界線となっているのである。 この境界線、自己と他者を区別するこの境界線こそが、自己の精神のすがたなのである。いわば、境界線を持つに至った、自己の精神の領域を示している。これが人格であり、プライバシーであり、人権と言われているものである。それは、自己の原理、自己の内的必然性の及ぶ、精神の領域を示している。 それは個性であり、自律性であり、個の必然性であり、世界に二つとない彼自身の、独自で特有の特徴的なカタチの、彼自身の精神の領域である。それは自分というのが、自分自身の内的必然性の原理によって生き続ける、自己同一であり続ける主体だということである。そこは自分自身の精神の領域なのである。 戻る。 続く。 |