< 精神のカタチ、


〜4、「領域」


では、この「自分」というのは誰のことなのか。
そしてまた、自己意識とはなにか?

それは神聖不可侵の、自己の精神の領域である。肉体が皮膚でもって外の世界と区別されるように。また、国家というのが境界線でもって外国と区別されるように。精神もまた、自己の明確な領域と境界線を持っている。人格とか人権、自己意識といったものがそれである。

自己の内的必然性、存在の理由といったもので、自分が自分であることの証明である。けっして譲り渡すことの出来ない、自己の同一性である。もしもそれが破壊されると、自分が自分でなくなる。自分の意志とか魂(たましい)が無くなって、まるでカラッポの、人型ロボットのようになってしまう。

だからそれは、自分が自分であることの証明なのである。アイデンティティー(自己の同一性)とは、自己と他者を区別し、自分を自分として成り立たせ、生み出している、自己の内的原理、必然性といったもので、それが自己を他者と区別し、自己を保存し続け、維持し、動かしているのである。だからそれは、自分の本質であり、自己意識であり、正真正明の自分の正体なのである。それは、自分自身の生命の根源なのである。

そしてそれは、概念として、論理や合理性として、明確なすがたとカタチを持っており、そして、それぞれが個性的であり、特徴を持っており、他のものとハッキリ識別される、精神の境界と領域を持つのである。


  戻る。              続く。