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〜4、「地政学」


例えば、日本ではそれは、変化する自然環境に対する、感覚のリズムや情緒として現れている。それは単に、四季のみならず、地震や台風、湿気の多い気候、島国という地政学的条件としてもそうである。日本人の気質や気性といったものも、そこから理解されもするし、日本型文化の原理、システムの規則性や秩序の様式もまた、そこから説明もされる。

もう一つは、ユーラシア大陸(主に中国)との関係である。常に鏡(カガミ)を見ている感じで、大陸を通して自分自身を見ている。中国のようになりたい、もしくは、なりたくないものとして。そうやって、自分を省みては、自分を律して来たのである。それは世界史上でも見ることが出来る。

例えばスパルタとアテネ。20世紀の共産諸国と自由諸国。現在のイスラム国と先進国との関係がそうである。あるいはまた、戦後日本がアメリカに憧(あこが)れ、アメリカを目指し、アメリカ化していったように。そうやって、自らのアイデンティティー、自分自身というものを自分で変革していったのである。それと気づくことのないままで、自分で自分を変えていったのである。文化的植民地と化したのである。

自分と同じもの、または、異なるものを見て、自分を確かめ、自分をより強く意識し、理解もし、そしてよりもっと自分をハッキリした明確なものへと、自分で自分を作り変えて行くのである。そうやって、自分で自分を生み出し、形成してゆくのである。自己を、より確かなものへと、保存し、継続して行くのである。

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