< 「未知の記憶」


〜1-A、場面。


1: 感覚の境界面。
非現実で非日常、そして異質な感覚。
たとえば、空間の歪みや裂け目、幻や幻覚。しかし、こうしたことは、
音とかニオイ、肉体の触れる感触についても言える。

2: 感覚の境界の外。
未知のものとして感じられる。未知とは、それが現実なのかどうかもわからない、それ以前の感覚。感覚にない感覚。見えているが、それが何のことかわからない場合。

3: 肉体の記憶。
自分のなかにあって、感覚と意識の届かない世界。自分の肉体の内部から、あるはずのないものが見えたり聞こえたりする場合。

意識の記憶のなかでは、すでに失われているのであるが、肉体の物理的な仕組みのなかで、それがまだ何かの痕跡として残っている場合である。自分の肉体の無意識の動きや、生理の無条件の反射作用としてその名残りをとどめているもの。

なぜ、身体がそういう動きをするのか自分でも理解できないのだが、そういう動きの中に何かしらの意味や祖先の記憶が残っていて、それが伝わってくるように感じられる場合。言い換えると、「肉体の記憶」。または、生理ないし生理作用自体から派生してくる得体の知れない感覚の記憶。


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