< 「未知の記憶」


〜1、場面ーC。


5: 現実、または心の中での、自然な通常の流れに反する場合。不自然な世界。非常識、また、そうした情緒の切断されたところ。断絶した空白部分。谷底。どこかおかしく白々しい、異和感がする。浮いている、まやかし、偽りの気がする。そうした場合である。わざとらし、作り物のイミテーションのように感じられてくる。現実に何も見つからず、そのために現実の外へ出ようとするか、それとも、いまある現実になにか別の意味を見い出そうとし、さがし求め始める。

「感じる」ものだけでなく、感情や情緒、科学や社会システムに至る現実のすべてが、中身がカラッポのイミテーションのように見えてくる。世の中を成り立たせて、それが拠って立っているところの根本的な原理、あるいは、自分たちみんなの「信じるもの」というのがどこかおかしく、空々(そらぞら)しく、現実と合わなくなっている。

そうした異和感のようなものが、現実というのを虚(うつ)ろで無意味な、非現実のウソのような世界に思えてくるのである。すべてが偽りのマボロシのように思えてくる。まるで、映画館のスクリーン上で見る仮空の世界のように思えてくる。


戻る。              続く。