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〜5、「シナリオ」


「そう(する)しかない」というのは、相手とその条件を見て、自分が取れる選択肢を指している。どう考えても、自分の能力では、それ以外に選択の余地がないのである。世の中とか、人生というのは、たいていそうしたものである。どうにかなるものではないのである。どうにもならないから、「どうにかなる」などと気休めを言うのである。

「そうなるしかない」というのは、そうやって選んだものを実行に移す場合、自分の中にもとからあった条件や状態から、その実行の余地というのが、あらかじめ限られてしまう、ということである。

要するに、選択されたといっても、その選んだ範囲、といったものは非常に限られたものであって、自分自身の最適化の過程で、ほとんど、あらかじめ定められた、ほぼわかりきった道をたどるということである。

だれもがやっているのと、区別できないくらいに、似たような過程をたどって行って、ほぼ同じ結果に至るということである。

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