< 象徴の世界


〜9、「まやかし」


このような肉体と精神の一体性・同一性。情緒といったもの。自分が自分であることの証明といったもの。そうしたことがどこかで切断された。分断され断絶し、そして、つながりといったものが破壊された。自分の精神といったものが、バラバラに切断されている。自分で自分を統合できずにいる。自分自身の精神の領域が見つからず、全体としても、一体のものとしても、自分をとらえることが出来ずにいる。

文化が断絶している。絶えることなく流れ続ける川の流れのように自然に身に付き、伝えられ、引き継がれてきたもの、すべてが、まやかしのように思えてくるのである。しらじらしく、わざとらしい中身がカラッポの言い訳のように聞こえてくる。

シキタリや常識、そしてよりあからさまに言うと、人間同士のつながりやキズナまでが、ウソのように思えてくる。文化というのが、本来、歴史的に連続しているはずの文化というのが、どこかで途切れて、見つけられずにいる。だから何を見ても聞いても、現実のすべてが、なぜかよそよそしい、まやかしかウソのような現実、実体を失った偽りの現実のように思えてくるのである。

戻る。             続く。