< 「コトバ」


〜1、同じ発音。


始めに言葉(コトバ)があって、後から文字が入って来ている。
まず言葉があって、それを伝える必要から文字が作られたと
思えるのである。日本の場合、それは漢字という表意文字
である。文字は音ではなくて、意味を表わすのである。
クチとシタだけでは表せなかった、微妙なニュアンスが
様々な漢字によって表現できるようになった。

例えば「カゲ」は、光に照らされた物の表面に出来る陰(カゲ)と、
照らされた物が、他の物に落とす影(カゲ)とに、意味が分かれる
ことになった。その他に、「お蔭で」とか「翳り」としてもカゲの意味を
特定し限定しうるようになった。同じ「カゲ」という発音でも、
その表記の仕方によって、意味が違ってくるのである。
例えば、発音だけで表記する英語では、
それは「シャドウ」といって、陰と影の区別がない。

また、仮に日本語の「ひらがな」で表記しても、
陰と影の区別のしようがない。だから、本来の日本語では、
それは同じ意味で使われていて、漢字が入ってくる前は、
区別されることなく使われたのだと思えるのである。
陰と影の同じ日本語の発音が、それを示唆しているのである。


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