「霧(キリ)」


〜2、明け方。


灰色の夜のキリ。
灰色からシロへと変わってゆく早朝のキリ。

灰色は閉じていて沈んでいる。
灰色のキリは闇の中に消えて行って、
その先は何も見えない。だから閉じているし、
動けないし、そして沈んだように憂うつで、落ち着きというか、
何かやるせない、断念させるような、あきらめのような
ものを感じさせるのである。ふさぎ込むような、
閉じて沈んだような感じになってしまうのである。
灰色の視界の先はもっと暗く、その先はなにも見えない。

だが、明け方は少し様子が違う。灰色のキリがシロ色に
変わってゆくのがわかるし、それが予測も予感もされるのである。
たとえいまは灰色でも、その先のことが読めるのである。
だからそれに備えるし、アテもするし、そのつもりで行動もする。
たとえ今は、そのきざしがなくても、もう少し経つと必ず
日が昇るし、灰色はシロ色に変わり、キリは晴れるし、
明けてくる。

そして、それはそのままで気持ちも晴れてくる。
そして外へ向かう。精神と肉体が開いて、
内面から、外の世界へ、行動へと向かう。
閉じた世界から、開いた世界へと向かう。
晴れて、明けて、昇ってゆく。


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