夢の中、
〜１、シルエット。
| 眠っているとき、意識がめざめる直前の世界は、 たいてい暗い灰色である。 なぜか？シロ色だと目がまぶしくて目覚めてしまう。 めざめたくないのに、自分以外の外からの光で むりやり目覚めさせられてしまう。だから眠っているとき、 目の中がシロくなって眩(まぶ)しくなるのは、たいてい、 外からの光で照らされた場合である。外からの光なしで、 自分の夢の中だけで、まぶしくて目がさめるといったことは、 ほとんどない。 眠るのは、本人が休んでいるからであって、 目の感覚を刺激するようなシロい眩(まぶ)しさは、 自分から進んで夢の中で見ることはなく、たいてい、 外からの現実の光の刺激として入ってくる。 だから、刺激の強い眩しさとつながるようなシロ色は、 夢の中で背景色となることがなく、夢のなかでは、 たいてい、暗い灰色が背景色となって、薄いシロ色の シルエットでもって、物や人の輪郭(りんかく)が見えてくる。 このような明暗のバランス、暗い灰色の世界に、 うすいシロ色のシルエット。というのが、目の感覚にとって、 もっともなじみやすく、感じやすく、おだやかで、 親しみやすいもののように思える。もっとも疲れにくく、 感じやすい明暗のバランスなのである。 |