「目の中の世界」


〜11、世界へ。


だから夢は、そうした心の動きといったものを、イメージ(映像)として記録しているのである。
そして、それが何であるかは、自分で解き明かさなければならないのである。それは自分の心の奥の基底から噴き出してきたものであって、それを手がかりに闇の奥を見ているのである。

夢というのは、自分が外の現実の世界に出る前の、世界である。一人称の、自分で自分を見ている、閉じた世界である。たとえ何かが、だれかが現れて来ようとも、それは空想上の自己の分身に過ぎないのである。だから、目ざめなければならない。目覚めるしかないのである。目ざめて、自己が外の現実の世界へ、出てゆくしかないのである。

自分をたしかめ、自分を知るということは、そうする以外にないのである。しかし、そうしたことは歴史上、何度も起こっている。というよりも、常にそうであり続けたと言える。


戻る。              目次へ