「うつる」
〜1、不可抗力
映る、写る、移る、そして移ろい。そしてさらに、鬱(うつろ)、虚ろ、空ろ。以上のコトバはみな同じところから来ている。または、同じことを言っている。これらのコトバの源はみな同じところから出て来ていて、様々に姿カタチを変えながらも、結局は同じことを言い表している。 映る・写る・移るというのは見え方なのであって、それ以前に、その原型となっものは不明のままである。それらは、その元になった初めの原型が様々に姿カタチを変えて、表現されたものに過ぎないのである。 だからその表現される現実のすがた、映る、写る、移るの現れ方、見え方の表現のされ方といったものは千差万別、無限なのである。にもかかわらず、その中にある源の原型については不問のままである。だれもそんなことは気にも留めないし、どうでもよい、なんの係わりも、関係もないものとして無視している。 しかしホントに、ただ単にどうでもよいことなのだろうか?そうではなくて、どうにもならないことだから諦(あきら)めている、ないし、見て見ぬフリをしているだけなのだろうか。それは、人間にはどうにもならない、絶対的に抵抗不可能な不可抗力、運命や、定めといったものではないだろうか。 |