「精神異常」
〜1、外(そと)の世界。
前に取り上げた、世の中の大部分の人々が「精神異常」というのは言い過ぎではなあいか?まさにその通りで、だれが聞いてもそう聞こえる。「精神異常」などと他人を悪者扱いする人間の思い込みと偏執でしかないのでないか。まさしくその通りで、たいていの変質的で間違った考えを持つ偏執的で、それゆえ誰にも相手にされない人間がそうやって自分を正当化しようとする、というのが、一般的で普通の常識である。 事実、たいていそうである。そういう人間は誰にも相手にされないし、そしてそれが当然の報いで普通である。しかし、いまはそれを無視して、もう少し客観的な立場で、この現実を離れたところの外の世界から、自分が生きているこの現実の世界をのぞいて見ることにする。自分が生きているこの世界を、外(そと)からながめて見ることにする。そうやって初めて自分の客観的なすがたが見えてくるからである。自分の利害だけで現実を見ていると、自分の外の世界が見えなくなるのである。 自分というのが存在しない自分の外からである。自分の考え方や生き方や存在を否定した、自分の外の世界から、自分の精神の内部へと入って行くのである。自分の存在と精神はもともと別のものだったのである。そうしたケジメと区別を通して、初めて本当の自分というのが見えてくるのである。自分の中で自分が対象化されて見えてくる。自分を客観的なまるで他人のような公平な立場から見ているのである。自分の中で自分が分裂して、自分で自分に問いかけている。 |