「思いのまま」


〜1、気まぐれ。


自分のものと他人のものとのケジメがなく、またその区別も曖昧で、その時々の感覚と思い込み、気分や情緒に左右される。それはつまり、まわりの空気であり、雰囲気がすべてを決めている。自己意識がないというのはこのことであって、自分と他者を識別し区別する人格や人権の概念がないのである。

それは、自分が自分から離れていって、自分の外から自分を見るということがない。つまり、客観性に欠けるのである。そうした直接的な関係であって、自分で、自分に対する客観性といったものを意識することがないのである。それは自分自身との直接的で一面的な関係であって、自分で自分を省みるといったことがないし、そしてまた、その必要もなく、それが出来ない世界でもある。

だから、自分と他人の区別のない主観性の世界、自分で自分を意識することのない、思い込みと気まぐれ、気まま、自分だけの都合、感情と情緒だけの移り気の世界である。物事の筋道とか因果関係といったものが省(かえり)みられることがない、感情だけの世界なのであって、論理とか理性が意識されることも、理解されることもない世界である。

もどる。              つづく。