「自意識」
〜7、場面。
自意識の生じてくる情景といったもの。自己の心のあり様の、変化の自覚とそのキッカケといったもの。それには、もう一つ、日本列島の地理的・気候的条件の特殊性が上げられる。 四季が極めて明瞭であること、温暖で優しく豊かな日光、水が清く豊かであるということ、南北に伸びる、そして高低差ある地形は様々な植生を育んできた、四季の植生の変化の移り行きが著しく、そのカタチ、色やニオイ、そしてそれが変化する動的な変化のリズムが美しく、鮮(あざ)やかであることである。 それらがまた、日本列島の湿気の多い気候と絡んでいて、肌に触れる、より直接的で情的な感覚として入り込んで来ている。それはむしろ、感覚というよりも、情緒であり、感覚の感じ方(センス)なのである。感受性そのものなのである。そうした感覚のあり方、そしてそれが指向するところの特性や個性といったものを、日本列島の地理的条件や自然環境が決定しているのである。 変化というのが、植生とか生き物の移り変わりとして。生命の盛衰や、生と死として鮮やかに映し出され移行してゆく。変化というのが場所としてだけでなく、時間的な移り行きとして映し出されてもいる。うつり行く感覚と情緒のリズムとして捉(とら)えられている。それは同時に自意識の世界でもあって、そうした変化を透かして、自分自身の心の移り変わりを感じてもいるし、見てもいるのである。そしてそれはまた、自分が自分の心にめざめる舞台なのである。 |