「風土」


〜1、特徴。


たしかにそれは、日本人に見られる著しい特徴である。気分や心の持ち方といったものでもある。なにか変化を求めているのかも知れないし、そうやって、自分を確かめているのかも知れない。自分本来のあり方、心の拠り所、あるいは自分自身のアイデンティティーの宿るところなのかも知れない。

変わり映えのしない人々。いつでも、どこでも、みな同じような顔をした人間ばかりが、同じところで、ずっと同じように生きている。右を向いても、左を向いても、その子孫がずっと同じように生きて来たのである。同じような服、髪の形、体格、感情表現としての顔の表情といったもの。あるいはまた、その仕草(しぐさ)や作法、身体のなかを流れる呼吸や鼓動のリズム。そして、気質や気性といったものまで、なにから何まですべたがそうなのである。

こうしたことが、いつでも、どこでも、どんな場合にも当たり前のこととして、目の前の現実としてせまってくる。これしか無いのか? 変わったヤツはいないのか・・・。仕方がない。日本はとても狭いニワトリ小屋なのだ。一匹でも変わったヤツがいると、それだけでパニクルし、社会全体が破壊される。そうして、だれもがみな几帳面に、おとなしく、行儀よく、分相応に縮こまって生きているのである。

もどる。              つづく。