「古代インド」
〜2、広がり。
そうした世界にあっては、本当の自分というのは、現実世界に存在し得ず、空想の中にしかないのである。それも、けっして現実化することのない、思いつきと気まぐれ、空想だけが支配する世界である。 それは現実化してはならないものなのである。これが現実なら、自分のことを自分で責任をとって生きて行かねばならなくなるのである。だから空想と感情の世界から出てくることがないのである。出てきてはならないのである。出ることが出来ないのである。 空想と迷信だけが支配する世界を、外の現実から客観的に見てしまうことになるからである。世界が偽りとウソの世界だということが、あまりに鮮やかに見えてしまうからである。それは、見えてはならないものなのである。知っても、気づいてもならない世界なのである。反対にまた、だからこそ先史においてインドの精神が、かくも広く世界中に伝播し、拡散して広がっていったのである。 |