「別の意味」


〜12、必然性。


日本列島の梅雨期は息苦しく、わずらわしく、うっとうしい。それはもはや、気候とか天気という自然現象というよりも、むしろ心理的な状態である。それは暮らしの感じ方、しのぎ方、そして生きている人間の情緒のあり方なのである。

気温は特に高いということはなく、むしろ、ちょうどよいくらいなのに、気分は憂鬱になって来る。どこにいても、なにをしていてもジメジメ、ジトジトしていて、うっとうしくなってくるのである。これが心的状況、情緒といったもので、それが人間の感覚や感じ方、そして考え方や行動を支配し制約し続けるのである。

それは、感覚の自然現象といったものではなくて、感覚の感じ方、神経や生理作用のリズムであって、そしてその型式(パターン)といったものである。有史以前から子々孫々、ずっとそうであり続けたのである。それが風土、あるいは自然環境なのである。

もどる。              つづく。