「別の意味」
〜7、舞台。
自然との関係。つまり、個として自然と向き合うときは、異常なまでの執着とこだわりを見せる。器用で神業(かみわざ)的な名人芸や職人芸が発達する。これがまた、日本における「個」というものの存在の場面となっている。 そうした生き方、感じ方というものが自然との関係に非常によく現れている。そしてまた日本の自然は、そうした個人が求めるもの、望むものに対してとてもよく反応し答えてきたのである。 日本列島という自然は、人間が働きかけをすればするほど、それによく答えてくれる。それ以上に答えてくれる。そして、それに働きかける人間もまた、それに合わせて研ぎ澄まされ、こうした自然と一体になってゆく。水と光に富み、そして土地は肥えている。そして、四季がこれに介入し、生と死がまたたく間に広がっては消え、そしてまた広がり満ちてくる。四季が生き物たちの世界をリセット(初期化)し、活気に満ちた世界を織りなし、繰り広げている。 感覚や気質・気性、情緒といったものもそうである。それらは、こうした日本の風土と密接に関係した、切り離されないものなのである。もちろん、それは始めからそうなのではない。様々雑多な思考錯誤がくり返される過程で、こうした傾向だけが残り、また、そうした方向をとらざるを得なかったということなのである。だから、それはある意味では、日本という風土と自然がもたらした必然と言えるものなのである。 |