「象徴」
〜1、別のもの。
「象徴」は、現実のすがたとは別のものを見ている。例えば、光の中に永遠を見るといった場面である。光の中に何かの象徴を見ているのである。そうしたことは、現実の様々なものの輪郭線といったものが、空間のなかで歪んで、軋んで動き、絡んで、つなぎ合わされ、一瞬の間、そうした場面や情景、キッカケとして現れる。象徴の中に、なにかそれとは別のものを見ているのである。 だからこの場合、人間は、外の世界を通して自分自身の内面の世界を見ている。外の現実の世界、ありのままの自然のすがたから、自己の内面を感じていて、自分自身の心の中を見ているのである。気がつくとか、察するとか、思い当たるとか、気配を感じるとか、そうしたことが暗示され、導かれて行くのである。それが、人間にとっての感覚の受け止め方、感じ方といったものなのである。 現実をそのまま見ているのではない。自分の都合に合わせて見ているのである。都合とは自分の個性であり、立場であり、生き方である。こうした無意識の主観と偏見の世界を私たちは生きている。 |