「2:古代ギリシャ」


~8、切断。


何も無いのに何かを感じ、予感し、その何かにおびえ、とまどい、迷い、あるいはおどろき、惑(まど)わされる。意識が定まらず、散漫で、臆病で、それでいて、誰よりも大胆で、勇敢でもある。落ち着きがないのである。自分というのを、しっかりとつかみきれていないのである。

要するに、情緒が不安定なのである。自分自身というのが、どこかで切断されているのである。それをつなぎ合わせて統合するために、上のような情緒不安の傾向が強まるのである。自己の一体性・同一性というのがわからなくなっているのである。

自分が誰かわからず、本来自分であるはずのものの中に、何か得体の知れない者が入って来ていて、わけが分からなくなっているのである。自分で自分がつかみきれず、自分が分からなくなっているのである。今いる自分と、未知の得体の知れない新たな自分が同居し始めていて、わけもわからず互いに、せめぎ合っているのである。混乱し、錯綜し、入り乱れて、困惑しているのである。

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