「ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ)」:可能性 p1


「可能性」



古代ギリシャの細分化され、多様化され、
そしてそれが、海によってつながった
自然環境といったものが、ギリシャ人の精神の、
自由な活発性と、多元的で多様な、そして統一された、
民族精神の特性というのを引き出し、導き、さらにまた、
その自由で多様な、活発な精神性といったものを、
外へ向かって、現実の活動へといざない、
広げて行ったのである。

さらに注意すべきは、そうした自由な発達というのが、
ギリシャの自然環境という、制約された条件の下で
行われたということである。それは何かというと、
人間の自由な活動というのが、ギリシャの特殊な
自然環境のなかで、方向づけられ、規制され続けられて、
特定の定められた指向性を持つ、そうした人間の
活動として定着して行った、ということである。

しかしそうしたことは、つまり、自然環境というのは、
あくまで方向性や可能性を示すのみであって、
それが実際に現実として、すでに行われた歴史として
現れたということは、可能性としての自然条件以外の
要因があったと推測せざるを得ない。

                   続く。