ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ) p11


「民族」




複雑多様にして、しかもそれが海によって結ばれた自然条件、
そして、以前の雑多な民族の混合による多元性といったもの。
それらが「個人」というものの形成の道標となったのである。
そうするしかなかったのである。

このような自然環境のなかで生きている。
それが現実というもので、こうした現実の条件の中で、
人間が生き続けるのである。生きるというのは、
そのなかで、自分を生かし、自分をたしかめ、
現わし、形づくって行くということである。

ギリシャの自然、単に地理的条件だけでなく、
その気候も含めて、さらに、さ迷い、漂泊し、
流浪する、様々雑多なな民族の精神といったもの。
そうしたことが後のギリシャ精神の条件、ないし、
前提となっている。そしてそれらすべてのことが重なって、
混合され、錯綜し、混乱した無秩序中から、
それ以前とは全く異質な衝動、ギリシャの精神、
民族性といったものが、現れてくるのである。


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