ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ):可能性 p7
「観念化」
現実世界の、精神の世界での観念化とは、このことなのである。
人間が、自分の外の世界を意識するとは、このことである。
現実の世界を、自分自身とは別のものとして見ている。
そして現実が、自分自身の精神のなかで反射し、対象化され、映し出されているのである。自分自身の心の中を省(かえり)みているのである。映し出された自分自身の精神にとまどい、当惑し、驚愕し、恐れおののいているのである。
というのは、このように意識されるギリシャの自然だけが、
ギリシャ人にとっても本来の自然だからである。
ギリシャの自然とは、そこに生きるギリシャ人にとっての
自然でしかないのである。そしてそれがまた、
ギリシャ精神を成り立たせている、
現実の根拠でもあったのである。
自然そのものが、すべて、そのようなものとして、
ギリシャ人には意識される。そのようなものとは、
その精神を成り立たせるもの、精神と一体となった
ものという意味からである。だからギリシャ人にとっては、
精神と自然とは、明確には区別されていない。
もちろん、それは観念の世界の話ではあるが・・・。
戻る。 続く。
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