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琉球が18世紀、アイヌが19世紀に吸収。朝鮮半島と台湾島が20世紀に吸収され、そして再び分離される。それでも精神的には単一民族であり続けたし、同じ民族が、同じ場所で変わることなく、ずっと同じように生きてきたのである。 海という巨大な外堀に囲まれて、日本島が孤立して隔離される。大陸に対峙するものとして自己を形成してゆく。文化というのが、島の外の世界に対して孤立・隔絶し、島の内部においては様々にかき混ぜられ、それが繰り返されて均質に同化されてゆく。このような状況が有史以来ずっと続いてきたのである。つまり、何が言いたいのかというと、「言葉など不要だ」ということである。 面と向かって、どうのこうの言わなくても、顔を見ただけでお互いが何を考えているのか、すぐにわかってしまうのである。たとえ初対面であってもそうなのである。そうしたことがごく当たり前の社会なのである。それが前提として成り立っている社会なのである。それは情緒的気質というか、雰囲気というか、その場の「空気」とでもいったものである。 つまり、「空気」という名の暗黙のオキテが日本という社会を支配しているのである。これはきわめて日本的な公然の秘密であって、暗黙の了解、もの言わぬ絶対的な強制力として社会を支配し、つらぬいている。みんなのためとか、ケジメとか、オキテとか、いさぎよさとも言われている。 そうしたことが、その場、その場面の空気に凝縮されていて、その中をあらかじめ定められた規則やシキタリに従って生きているのである。ことばとか理屈などといった、形式的で表面的なことは二の次なのである。まさしくこれが日本の原理、「和の精神」といったものなのである。日本のすべてを動かしている基本原理なのである。 |