index < 日誌 < u. 日本。< 「赤と白」 |
では、「赤」は何か? それは血の色、躍動する生命の象徴、または、死の残酷な色である。つまり、この世の生と死の象徴なのである。例えば、赤が血を連想させる色でないにしても、やはりそれは赤ん坊のピンク色の素肌を、生命の息吹きを感じさせる色でもある。 イヤ、それが偏見だというのなら、それも無視しよう。しかしそうしてみてもやはり、赤という色はもっとも残酷なまでに、どこまでも意志的で感情的な色である。非妥協的で自らのみをあくまで、どこまでも押し通そうとするそんな色である。 自分の生命のすべてを賭けてもなお恐れはしない、そんな色である。そして実はそれこそが、オキテ(掟)とか戒(イマシメ)めといったものなのである。けっして逆らうことの許されない、宿命とかサダメといったものなのである。 それは、早春の桜の花びらにも例えることが出来る。生まれたての、あわくて白い花びらの中に、ほんのりとほのかにピンク色に染まっている。ピンクの非常に薄くて弱い赤色が、白い花びらの中で自己を主張しているのである。生まれたばかりの、とてもひ弱で壊れやすく、そしてはかない色である。 |