index < 日誌 < y肉体。< 「続、生物的映像」p7 |
目に映る外の世界の、明暗の諧調と色彩の豊かさといったもの。またそうした模様といったものが、時間とともに変化し、現れては消えてゆく。そうした時間的変化の異相といったもの。リズムやアンサンブル、シンフォニーのようなもの。肉体のバランスと調和の世界。それはまるで、生きて鼓動する精神のリズム、躍動する呼吸の息吹き、そうした心と身体の調和といったものである。 それは何のためらいもなく、外に向かって開いた五感と、肉体の生理が、内面へと向かう精神と呼応し共鳴した結果なのである。肉体と精神が何かに包まれて溶けていって、響きあい、調和しているのである。 そして、この何かとは、その場をつつむ空気であり、雰囲気であり、その場の人々を支配している、持って生れ出た「情緒」とでもいったものである。情緒が人間を支配している。情緒のリズムが肉体の感覚と生理、感情といったものを支配し、制約し、方向付けているのである。 そして、この「情緒」の根源であり、それを生み出し、条件付けたのは、その民族が生きてきた風土そのものであり、地理的・歴史的特性といったものである。これら外的自然と内的精神の特性といったものが、人間の肉体の感覚、例えば、視覚がたどるべき方向性や、目標とすべき指向性の条件や必然性、そしてそれが、必要とし、求めるものを定めて来たのである。それは民族の、地理的・歴史的条件の産物なのである。 |
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