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1 おぼろげな世界



「ぼやける」というのは、人間の目のピントが合っていない、ということである。だから、景色がぼやけて見える。これは、人間が自分でコントロール可能な、いわば、主観的な映像である。

これに対して、「かすむ」というのは、人間と景色との間になにか、霞(カスミ)みたいなものが入って来て、景色を見えにくくしているのである。だから、「かすむ」というのは、自分ではどうにもならない、外の世界の出来事なのである。「ぼやける」というのは、自分がコントロールしているが、「かすむ」というのは、自分以外の、外の世界が支配している。

ボヤケるというのは、景色の中の物の姿といったものが、その境界や輪郭線といったものが、うすく消えていって、物に始めからあった様々な色や明暗が、互いに広がって浸透しあって融合してゆく。もの本来の色と形が消えていって、それとは何か別の、おぼろげな、ぼんやりしていて、もやもやした、何一つカタチにならない、とらえどころのない世界である。

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