index < 日誌 < 2018 < 11-「おたけび(雄叫び」 |
夏の太鼓の音は心臓に響く。むし暑くいたたまれず、外向的にならざるを得ないのである。外へ向かって発散せざるを得ないのである。人間の顔つきも仕草も、服の色もそうだし、太鼓の音もそうである。なにもかもが挑発的で、対抗的で開いている。自らの相手を求めて、乱れ狂っている。すなわち、外向的なのである。 透きとおる音と、透明な色は冬の空気の色であるが、それが夏では、「にごる」。夏の空気がにごるのは、生命活動の結果である。無機質ではないということだ。生命があふれ、腐るほど満ち満ちている。匂(にお)いもそうだ。空気中に生活のにおいと、チリが多く含まれ、波長の長い光が回折し、回り込んで来て空気に暖色が混じる。音もにごる。 世界中の何もかもが生命に満ち溢れ、そして腐るほど充満している。 そしてそれが人間や動物をして行動的で外向的にしている。感情的で、またそれを何かへ向かって発散させようとしている。精神は、そうした衝動的なはけ口を外に求めている。 |