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春の色は、白っぽい霞(かすみ)のなかから、ほのかに浮かんでくる。 色というのは、つまり、生命の始まりなのであって、水と適度の気温が必要なのである。このような優しくおだやかな湿気と気温の中から色が生まれる。だから春の色は、うすく白の混じった、半透明の色なのである。水とは、生命であり、カスミ(霞)の色なのである。 夏は、厚かましく、ふてぶてしくて、ずうずうしい、タフな色。薄い黒の混じった、力強い色だ。 秋は、ひからびて、しおれたような、くすんだ色だ。空気が乾燥していて、生命から潤いが消えた、乾いた色。カサカサした色である。そして空気は透明で、薄い灰色混じりの色である。空気が乾いて透明なので、景色が遠くまでよく見える。また夏に比べて日々太陽の光が減っていって、ほんのわずかに少しずつ薄暗くなってゆく。 冬の色は、薄い青色混じりの灰色である。カサカサしていて、閉じたような、中身が干からびて無くなって、外面だけの、殻(から)だけの眠った世界のようにも見える。そうした、乾燥した無機質の世界である。 |