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1 直射光。




同じ「カゲ」と発音するけれども、
「影」とは、物体が他の物体の上に落とすカゲの部分を指す。
「陰」とは、物体が、他の物体に対してではなく、自分自身の表面に映しだす光と影の濃淡部分を指す。これは、光が差す角度、および物体表面の凹凸などによって、カゲの濃淡部分が作り出される。他の物体に落とされた「影」には、こうした濃淡はない。
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冬の景色はのっぺりしていて、影と陰の区別がはっきりしない。つまり、ものを照らす太陽の光が弱くて、ぼやけた光で世界を見ているのである。まるで、月夜の世界を極端に明るくしたような世界である。それは、物が落とす影がはっきりせず、照らされた表面の陰(かげ)が支配する世界である。

影とは、物が他の物に落とすカゲのことで、そのカゲの中では、表面の模様も、色も、なにもかも消えている。あるのは、ものの周囲の輪郭線(境界線)だけであり、その中は何も見えず、何もない。ただ同じ濃淡と、同じ模様のままの暗いというだけの世界である。もっと正確に言うと、この影の中には、カゲの濃淡と模様そのものがないのである。

そして、それはまた、直射光の世界でもあって、間接光(環境光)ではほとんど現れることがない、直射する直接光によってのみ現れるカゲの世界である。だから、明暗がはっきりしているのである。現実と非現実、生と死、明と暗、光と闇の世界が、はっきりとした境界線でもって区別されている。そして、実はこれこそが、現実の世界なのである。目覚めと眠りのある世界なのである。

目ざめたままでも、眠ったままでもなく、それらのどちらの世界をも行ったり来たりしているのである。こうした変化と移ろい、そうした、切断され分裂した自己を通して世界を見ている。そして、そうしたことが、自分自身にも自覚されるのであって、自分というのが見えてくるし、理解もされてくるのである。そうした自意識が存在する世界である。直射光がもたらす、太陽の光が直接に映し出した、生きた、ありのままの現実の世界なのである。

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