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春と同じく、夏の色もあざやかなのではあるが、春のそれとは著しく異なる。同じ鮮やかさであっても、その鮮やかさが全く違うのであある。光りの明暗の差が極端なのである。それは、地表に降り注ぐ太陽の光の強さと関係がある。強い光のなかで、外の風景は、ずうずうしいくらいに厚かましく、ふてぶてしく、そして力強いのである。春のような可愛さ、優しさといったものは、まったくない。 景色の輪郭とその内部の模様といったものが、黒っぽいカゲの線で区切られ、そしてつながり、そしてそれが目の中でカタチや模様となって映っている。カタチの色というのが、その境界部分で黒く細い線となってにじんでいる。線といううよりも、その境界部分が暗くにじんでいて、そしてつながっていって、輪郭やカタチの線として見えてくるのである。 カタチやその表面の模様、色の鮮やかさ、コントラストの濃淡といったものが、力強く、ダイナミックに、そして生きいきと現れている。生きている。なにが何でもムリヤリに。そうした力強さが強く感じられる。厚かましく、図々しく、ふてぶてしいくらいだ。潜在ではなくて顕在、無意識ではなくて意図的で意識的。夢ではなくて現実。 心の世界から生きた現実の世界へ。精神は自分自身の内面へと向かうのではなく、外へ、現実の世界へと向かっている。 |
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