index < 日誌 < 2018 < 12-「歴史」


 
3、「不可解」



システムとは、秩序であり、仕組みであり、序列なのである。そしてその原理と必然性を指している。だから、そこで生きてゆくためには、自分自身が変異してゆかなければならない。そして、ここで深刻な問いかけがなされる。「自分はだれなのか?」という。

だれでもない、自分は自分でしかない。にもかかわらず深刻なのは、自分がこのシステムからすると、異なる、孤立した異質な存在だということである。変異する者とは、このことなのである。

そうした変異する者は、まわりから見ると、まことに不可解で理解不能、不思議でわけのわからない、正体不明の存在なのである。だれにも理解されず、そうやってのみ集団の中で生きていられるのである。そうした、まったく踏んだり蹴ったりの世界なのである。

それは、全体というみんなから見ると「異物」であり、災いのタネでしかないのである。排除するか、隔離するか、矯正または破壊するしかない存在なのである。ちょうどPCの中に紛(まぎ)れ込んできたウィルスやバグ(虫食い)と同じ扱いである。

しかし、こうしたノイズ、不具合、錯誤、迷走、といったものがシステムの変異の原因になっている。それは「歴史」という時間の流れの中から見ると、まさに必要不可欠の存在なのである。人間の歴史にとってどうしても必要な存在なのである。


 戻る。            目次へ。



index < 日誌 < 2018 <12-「歴史」