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10、切断。



肉体の感覚と精神が分裂し、そしてまた、自分の記憶やルーツといったものが、どこかで断絶している。自分がどこかで切断され途切れて見えなくなっている。感覚と自意識の一体性・全体性が破壊され、自己の実在性とか現実感といったものが非常に希薄になっている。これは、自意識とその領域、そしてその人格というのが薄れて行くというのと深く関係している。

それはまた、日本列島の自然条件、そしてその中で繰り返され型となり、リズムとして保存されてきた、もの言わぬ民族ないし「種」の無意識の記憶なのである。人々を支配する、その場の「空気」や雰囲気といったものがそうである。あるいは気質や気性といったもの、情緒や情感といったものがそうなのである。自覚もされず、意識が届くこともない無意識の世界の、自分自身の記憶なのである。あるいはまた、それが民族の記憶といってもよい。それが、どこかで破壊され途切れているのである。

しかしまた、それこそが自己の一体性なのであり、ルーツの記憶なのである。いわゆる、アイデンティティーなのである。自分自身そのものなのである。それがどこかで切断されたのである。

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