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4、<つながる線>



目の中の、マダラ模様の暗い影の世界から、薄灰色の、ゆがんだ白い線が何の秩序も関連性もなく、あちらこちらからバラバラに、現れて来て、それらがつながって、閉じて、その中から表面が見えてくる場合。しかしまた、そのつながり方が様々である。つながりながら何にでもなるし、何にでも変わって行くのである。

それは、それが象徴するものが、いつまでたってもわからないのである。映し出された表面の模様とか映像の意味がわからない場合である。なにがなんだかワケがわからず、もしかすると、映し出され現れ出た映像に、もともと、ワケなどないのかも知れないのである。映像自体がワケもなくコロコロと変わって行くのである。定まらないのである。また自分の気分次第で何にでも変わるのである。

そしてそれ以上に、情緒というのが切迫しておらず、追い詰められてもいない。自分が壊れてしまいそうに感じられることもない。いきなり、線が広がり象徴に変わるといった、そんな衝撃的な場面ではないのである。それよりも、なにが何だかわけがわからない、というのがこの場面の始まりなのである。これが、線がつながって後に表面となり、すがたとなるイメージなのである。線自体がバラバラで、それだけで自由気まま勝手に変化し移ってゆくのである。

そして、その姿とか、情景が象徴するものが、最後までわからないといったことも、よくあるのである。目が覚めたあとで、はたして、あれは何だったのだろうと、思い起してしまうのであうる。そうした、どうということのない、どうでもよいような、夢の世界である。

それは、輪郭が意味するところがわからず、だからそれを、自分で構成しようとしているのである。でも、それがうまくいかないパズルのようになっているのである。そして、だからまた、わけがわからず、悩みもし、はっきりせず、すっきりしないのである。思い出しても印象が定まらず、それが何にでも思えて来るし、見えてもくるのである。何かの忘れ物のように。すでに失ったものを見つけようとしている、そう思えてくるのである。

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