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2、感情だけ。



ただ従うということは、そういうことであって、それは自分より上の者に盲目的に従うということであり、と同時に、自分よりも下の者を必要とする。それがシステムというものである。そうでないと自分が壊れる、耐えられない。自分の存在理由を見失う。自分は最下位の者であるはずがないのである。そんな生きている値打ちのない人間であるはずがない。

だから、権威に対する盲目的従順性は、自分自身の自己意識の滅却・消失でもって成り立つものであって、それは同時に、自分よりも下の下位者を絶対的に必要とする。それはつまり、差別は盲目的従順性の絶対的な必須の条件となっている。

目下(めした)の者に対するそれは、残酷であればあるほど、そしてそれが無意味であればあるほど、「意味ある」ものに思えてくる。残酷そのものが大事なのであり、残酷それ自体に最も重要な「価値」があるのである。なぜなら、人間精神の破壊こそが、このシステムの目的となっているからである。

精神の死こそがもっとも安定した、不変の固定した状態だからである。そうすることによって不安定要因が取り除かれるのである。だから無意味であるほど、「意味あるもの」に思えてくるのである。それこそが、このシステムの前提、必須の条件となっている。

意味のない社会にあっては、無意味であること自体がなによりも大事なことのように思えて来る。さらにそれが暴力的で残虐であればあるほど、残虐それ自体が重要で不可欠な、絶対的で象徴的な価値と意味を帯びて来る。

このようなシステムは、個人の自己意識のないところにしか成立しえない。不合理で無意味、なんの目的もないというところに、自己放棄と自己喪失の条件がある。そしてまた、こうした状況こそが、自分であって自分でない状態、自分に対して、自分がなんの責任も取らないで済む状態、きまぐれと偶然、思いつきと感情だけで生きて行ける世界なのである。

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