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3、異和感。



どうと言うことのない、あまりに当たり前の、どこにでもある日々の風景に、なぜそのような不可解で不思議な異和感をいだいてしまうのだろうか?

それは、自分がそれを求めているからであって、そして、それと同時に、それと同じくらいに、風景がそれを僕に求め、導き、さそい、そして指し示しているのである。では、いったい何を?風景がそれを暗示している。失われた記憶を。もうろうとした霧のなかで、現れては消えてゆく、自分自身の記憶をである。

現実を生きている自分というのに戸惑い、驚き、わけも分からずためらい、動揺しているのである。現実のなかで自分というのを、見つけられずにいるのである。それが、かすみの中の山々となって映し出されている。

そしてもしかすると、かつてこの日本列島を生きた祖先たちも、そのように感じたのかも知れない。それが意識の奥底で、眠ったままで生きていて、そして目覚めの時のなにかのキッカケを待ち続けていたのである。まだそれが、はっきりと見えてこないのであるが、そうした何かを、祈り、願い、求め続けているのである。

戻る。              続く。

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