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6、欠落。



自己意識が欠落している。
ものごとを自分で考えて、自分の責任で、自分を生きるといったことがない。だから見えて来ないのである。見えないのである。本当の現実というのが、だれか偉い人に言われて、指示されて、初めてそれが自分の考えのように思えてくるのでる。誤解している。自分の都合のよいように勘違いしているだけなのである。現実というのを自分が望む方にしか理解できないのである。

始めから最後まで自分の考えというのが欠落しているのである。自分の精神の中で発見も発掘も、叫びも、恐怖も、喜びも、そして戸惑ったり、揺れ動く心の動きといったものが無いのである。自分自身というのを喪失しているのである。何かに驚き予感し、ためらい、迷うということがないのである。自分で自分をかえりみるということがないのである。自分を見つめるという場面がないのである。

だから本当の現実が見えて来ない。そうした迷信と偽善の世界を生きている。だから、現実に起こっていること、自分の身体で感じていることの正体がわからず、それに気づくことのないまま生きているのである。そうやって生きて行けるのである。それ以外の生き方を知らず、また、その必要もないのである。身体が何かにめざめ、意識といったものが自己にめざめる、といったことがないのである。

戻る。              続く。

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