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だから、そんな、わずらわしいことは誰もしないのである。テレビと新聞が、偉い先生が結論だけを教えてくれるのである。それで十分なのであって、余計なことを考えると、かえってややっこしくなるし、それどころか仲間はずれにされる。誰からも相手にされなくなるし、生きて行けなくなる。だから、考えてはならないのである。ここでも日本社会特有の、自意識の欠落が見られる。 自己の感覚と意識といったものが、どこかで切断されている。自己と他者との境界が、どこかで混同されている。肉体と精神が切断されて、自分を見つけられずにいる。自分が見えなくなって、わからなくなっている。自己の同一性・連続性といったものが、どこかで切断され、断絶している。肉体と感覚、そして意識と記憶といったものが、同じ自分自身のものとしてうまく統合されずに、どこかで途切れて、切断されたたままになっている。 だから、いつもどこかで飢えていて、何かを求め渇望している。それがいったい何かというのがわからず、何をやっても結局、満たされるということがないのである。だから、より一層、体裁だけの、中身がカラッポの、外面だけを追及せざるを得なくなっている。 |
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