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1、白い空気。



4月の春は白い色。
水蒸気のカスミと優しい光の世界である。それは、冬の終わりで、夏の始まりの色でもある。地表と空全体を非常に薄い白色の、空気のカスミが覆い尽くしている。カスミとは気体となった水分、水蒸気のことである。

このシロ色、シロい空気、シロい外の世界。その中ですべての色が混じり合い、浸透し、同化し、色としての個性が無くなっている。シロとは、すべての光の色を含んだ均質の明るさである。それが春の空気の色であり、人間と世界全体を包む空気の質となっている。いつでも、どこでも、だれに対しても、等しく、穏やかで優しい光の色となっている。物理的にも、光学的にも、また情緒的にも、そうである。人間というのが、もともとそのように出来ているのである。


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