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何かをのぞむとか、願ってそうしたのではない。そうするしかなかったのである。そこにとどまり続けることが出来なくて、仕方なく、どうにもならず、どうしようもなく、そうしただけなのである。出て行くしか無かったのである。それ以外に道が無かったのである。 そこに留(とど)まり続けるのは、自分自身の死を意味している。今までの自分ではもうやって行けなくなって、自分が何か、それまでとは別のものになる以外に生きて行く方法がなかったのである。そして、そこに「とどまる」というのは、自分が何か別のものになれないということを意味していたのである。 「留まる」というのは、このままでは生きて行けず、そしてまた、そこから自分が出て行けなくしていたのである。だから、それまでの自分とは何か別のものになるしかなかったのである。そうやって初めて出発することが出来たのである。 だからまた、そこにとどまっていてはならないのである。そこから、出て行くしかないのである。たとえそれが死を招くことがあるかも知れないけれども、生きてゆく可能性もまた、あったのである。 人種や民族、あるいは、国民の形成には、こうした何らかの事情があったのではないだろうか。生物の歴史における変異ないし変態がそれである。 |
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