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4、舞台。



そうするしかなかった。それ以外に無かったのだ。他にどうしょうもなかったのである。精神は現実へ出て行かねばならず、だが、精神を表わすものとしては、現実にある物を通して表す以外になかったのである。

それがつまり、人間にとっての自然条件なのである。この自然環境の中から、それを通して自己が表現され、そして現れてくる。だから、自然条件というのは、精神が現れる現実の舞台なのである。下地であり、背景であり、生地なのである。そしてすべてはそこから生まれ、そして始まるのである。

これが人間にとっての現実なのである。この現実を離れたところに自分というのは存在し得ないのである。それは、自分にとっての舞台なのである。自分と他者が交流し、抗争し合う場所なのである。自分と他者が出会う場所なのである。自分が、自分の中から出て行く、外の世界なのである。


戻る。              続く。

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