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春のカスミの世界はおおらかで、うすぼんやりしていて、そしてどこか優しげである。水蒸気で出来た白いカスミが、直射日光をゆるやかにさえぎって、それを広げて、世界のすべてをまんべんなく、おだやかにつつんでいる。 こうした情景は、遠くに見える山々のすがたによく表れている。うすぼんやりしていて、カゲがうすく、どこかのっぺりしていて、何か自分自身の、記憶の世界を見ているように思えてくるのである。 冬の寒さの中で固く閉じていた世界が、そしてボク自身の心の中までが、春の暖かい陽ざしに誘われて、ゆるんで、開いて、そして満ちてくる。そして生命が誕生し、めざめ、よみがえる。 |
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