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1、天使のころも。



春の山々のすがたは、なにもかもが、木々も、林も、山全体も、何もかもが丸みを帯びていて、そして、うすら白いカスミの中でぼんやりと浮かんでいる。ぼんやりというのは、山のカタチの稜線というのが、うすぼんやりしたカタチのなかで、途切れ途切れになってかすんで見えるのである。

春の若葉や花びらが、鮮やかな色となってカスミのなかから浮かんでくる。生まれたばかりの出来たての色である。しろいカスミの中から様々な色が、その輪郭があいまいなままで、まるで、まわりに溶け込むように、ふっくらと広がっている。

色がカスミの向こう側から、こちらへ向かってやってくる。近づくほどに鮮やかに、クッキリと。これはまるで天使の衣(ころも)のようだ。天使の翼、精霊の舞にも見える。やはりそれは明るく、そして白い霧(きり)の中からやってくるのだ。


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