index < 日誌 < al境界 < 「精神の領域」7p/


 
4、破壊。



もしも、精神のこの境界線が破壊され、自分というのが他者の原理の延長に過ぎなくなり、つまり、他者に支配され、自己の同一性が破壊されるにいたったとき、それは、もはや自分自身であるとは言えない。他者と区別される自己の内的必然性といったものを喪失するからである。

自分が自分でなくなる。他人の原理の下でのみ自分が生かされる。それ以外の生き方というが出来なくなっている。この他者によってのみ、自分というのが存在し、生きていられるのである。固有の自律性や主体性といったものが失われている。

これは自己放棄であり、自己を喪失した状態である。自分と他人の区別がなくなって、境界線がなくなって、自分の精神のすがたといったものが消えてゆく。その輪郭も、骨格も、実体もなくなって人格を喪失する。自らの精神の領域といったものを失なう。当然、自分自身の「精神の自由」といったものもない。


戻る。              続く。

index < 日誌 < al境界 < 「精神の領域」7p/