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それは神聖不可侵の、自己の精神の領域である。肉体が外の世界と区別されるように。あるいはまた、国家というのが境界線でもって他国と区別されるように。精神もまた、自己の明確な領域と境界線を持っている。人格とか、自意識といったものがそれである。あるいは、精神の自由といったものがそうである。 だから、そうした個人の精神の領域へは、むやみに立ち入ってはならないし、立ち入ることが許されないし、また、立ち入ることも出来ない。それはプライバシーであり、人権なのである。許してはならないのである。それは見えないバリケードで囲まれていて、それが自己の精神の境界といったもので、外から見たときの、その外面的な姿なのである。それは自己の人格の領域なのである。 だからまた、非常に壊れやすく、デリケートで微妙な捉えどころのない世界でもある。自分でもよくわからないし、他人にも理解のしようのない世界なのである。だからまた、境界線が必要なのであり、他人が入り込んではならないのであり、他人と区別される異質な領域であり続けるのである。 だからこそ、だれにも拘束されることのない、無限に自由な、自己の精神たり得るのである。異質であること、他者と区別されること。自分の中に、何か他者と区別される異質なものがあって、それが、どうしょうもない不可抗力、必然性として自分自身を支配している。 自分の中にある、自分にしかない、自分だけの内的必然性、わけのわからない自己の存在理由、そして、あくまでも際限なく自分を拘束し、規制し続ける、正体不明の内的衝動や原理とでも言ったものである。 |
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